大矢英代

10年前の監視カメラはモノクロで画質も粗く、警備員が見るだけの存在にすぎなかった。今は違う。高画質監視カメラは、信号機や警察車両など街中のあちこちに設置され、市民の日常を見張り続けている。その点は日本も同じだ。角度の変更やズームも遠隔操作によって可能であり、アメリカでは顔認識機能によって人々の顔を自動的に読み込んで分析しているという。 警察官が着用しているボディーカメラも、大きく変化した。ボディーカメラは、警察がからむ事件や事故の現場検証のためなどとして、オバマ政権下で普及したが、監視ツールとしての機能が年々増しているという。 制服に取り付ける「ボタン型カメラ」まで開発されており、警察官はそのカメラをつねにオンにしておけば、通りすがる人たちや職務質問中の人の顔を読み取ることが可能だ。市民の気づかないうちに動画を撮影され、顔認識機能でデータ解析をされているということだ。 データベース「監視の地図」を見ると、ボディーカメラを導入している警察署は全米各地で1348カ所に上る。顔認識機能は368カ所で導入されている。 車のナンバープレート認識カメラを導入している警察署は586カ所だ。信号に取り付けられた固定式のカメラだけでなく、パトカーにもカメラが装着されている。街の安全を守るためにパトロールしているように見えるパトカーが、実は走りながら人々のデータを集めているというわけだ。 そうやって得たデータは巨大なデータバンクに集められ、人々が過去にどこに行ったか、誰を訪ねたかなどの情報が容易に割り出されているという。